スキー場跡/
灰泥軽茶
ぶんぶん侵入者を警戒している
今はもうしんとして
雑然とした廃屋だが
椅子だけは
綺麗に窓際に取り付けられた
長い木のテーブルに
等間隔逆さにして置かれ
椅子の足には
びっしり濃緑の蔦が生い茂っている
そして
飴色に輝くガラス窓から差し込む光によって
大きく小さくなる光の塊と
ウゴウゴ蠢く濃緑の蔦が
まるで流れ去った時代の
織りなすタペストリーを
かたちづくっているようで
私はふうと息を吐き
昭和の湯気に包まれた
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