スキー場跡/灰泥軽茶
 
賑やかな風景が今も見えてきそうだ
昭和のレジャーは大移動
小さなゲレンデ一つに
休みともなれば
がやがや人が集まり
きちんと並んで
リフトに揺られ
ゆっくり滑っていく

帰りの電車もバスも住まいも窮屈だけれど
みんな夢があって空を眺められていたのかなあ

目の前の風景は
草がぼうぼう
大きな看板も小さな標識も
べコべコ傷んでいる

少し探検して歩いていると
可愛らしい食堂をみつける
中を覗けば
「めし」の札がかかっていたり
壊れた食器や棚が転がっていて
床はこんもり盛り上げって
所々穴だらけ

上を見上げると
大きな大きな蜂の巣がぶら下がって

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