擬態する虚無/青土よし
彼は私の苦しみそのもの
彼に関して用いられる、
言葉
色彩
音律
それらすべてが
彼と
彼の愛のために。
自己表現なんて、無いのです。
世界観なんて、必要ありません。
口ずさまれうる旋律は
よろこびも
かなしみも
ただ彼ひとりの傍に。
永遠が欲しいなら、
私があげよう。
永遠なる孤独を。
孤独はあなたを手離さない。
(あの日、あの葡萄色に彩られた朝、やわらかな白いシーツの中で、あなたは目を醒ました。自分でも驚愕する程、澄み切った脳内と、無垢な身体が、そこで37℃の熱を発している。そして、あなたは、あろうことか、孤独から手を離した!泣きながら…泣き
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)