春の海で眠りたい/AquArium
 
それだけが、
わたしの救い



5.
逆行していく時間の
消費される場所はどこで
わたしのこころの保管場所が
どこにあるのか
なんて誰も教えてはくれなかった

もしあの時、
という陳腐な思想を隠すほど
わたしは固くも、柔らかくも、ない
枯らした声が届く場所には
もうホンモノは何一つなかったんだ

再び降り出した雨
手のひらで救おうとして
すり抜けていく水滴の
落ちた先に干からびてしまった
わたしの、勘違い

(ただただ
 過ちを繰り返す弱さが憎い
 正直に傷が付かない
 中途半端なこころ
 今回ばかりは、わたし自身に絶望している)



ああ
すべてが無意味だったとして
残るものはなんだろう
確実なことはもうすぐ春がくる、
ただそれだけのこと


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