憂鬱録より “火”/kaz.
 
身体を吊るし上げることから始めなければならない。女の足に縄をかけていくとき、彼女
は彼女なりの必死な表情をして、逃れようとする。形作られた表情自体、酷く歪んだもの
だ。嫌気がさして鞭打つ。注射した薬剤のために筋力が衰え、女は動くことができない。
植物のようにおとなしく、あたかも一つの生命体を成しているかのよう。だが、この女は
もはや生きてはいない。生かされているのだ。胸を覆う、細い指先の茂みを荒らすように、
私は手の甲を包み込み、愛撫する。女は自分の手で自分自身の乳をまさぐる格好になる。
やがて、それは私なしでも続いていく。

自涜とはこんなふうに、誰か他人から教えてもらうものなの
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