パトキのパドルデビル/6
トールキンの『指輪物語』といえばゴールディングの『蠅の王』と並んで米国を熱狂させた小説であるらしい。瀬田貞二訳赤表紙本指輪物語第1巻のあとがきにそう書かれていた(ちなみに自分は『十五少年漂流記』より『蠅の王』の方が好き)。
『指輪物語』の日本語訳には、瀬田貞二訳のものと、瀬田貞二・田中明子訳のものとがある。
後者は瀬田の訳を後に田中明子が補訂したものである。
自分は高校生の時、瀬田訳で『指輪物語』を読んだのであるが、その訳には特徴があった。ですます調で訳されていたのである。まるで児童文学の翻訳のようである、と感じた。
初めて読んだものが瀬田訳だったので、個人的に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)