文学的なものと哲学的なもの/kaz.
文学的なものは、そもそもの前提として、何かを語ることができないように作られている。ある一つの物事について多角的な分析を試みることはできるのだが、それを一つに要約することは文学の仕事ではないのだ。たとえば「私は死んだ」という言葉がある。それを小説や詩の一部として引用したり、クッキー占いの包みの中に入れてみたり、あるいはネットの掲示板の書き込みにして、その効果の大きさを試してみる。そしてそのようにすることで、「私は死んだ」という表現の深刻さを、コンテクストに依るのだと否定してみる。また、本当に「私は死んだ」と語ることができるのか、と疑問をも提示してみる。それが文学的な営みである。しかしそれらは、誰かが
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