捧げられる命/いねむり猫
 

狭い廊下の両側に
小さく仕切られた病室が 
葡萄の房にようにしがみついている

病室は 使い古された機械たちで埋まり
その中に 忘れられた老人たちが 横たわっている


薄いまぶたで目を覆い 
毒々しいネオンのように 
様々な数値を映し出す 機械たちに助けられながら 
途切れ 途切れの 呼吸を続ける

時折 小走りする 看護婦の後姿
あるいは 医師の翻る 白衣だけが 視界をかすめる

機械たちの奇妙な警告音やブザー 
老人たちの鼓動を数えるつぶやき 
酸素や栄養剤、痛み止めを送り続ける 幾本ものチューブ

 力のない咳き込み 大きなため息 

[次のページ]
戻る   Point(4)