すばる/木屋 亞万
夜、気持ちよく眠っていると虫の羽音がして目が覚めた。反射的に手で音を払うと、すぐに声がした。「小生はあやしいものではありません。虫であります」とその声は言った。自分から虫というからには虫なのだろうなと僕は思った。
「ちょうどあなたの小指の爪くらいの大きさのテントウムシにございます。赤い背中に七つの星が描かれております。それゆえに小生はナナホシテントウと人間に呼ばれているようでございます」
ナナホシテントウなら僕も知っている。それよりも気になるのは、「しょうせい、ショウセイって言ってるけどどういう意味?」ということの方だった。彼は「小生は小さな生き物ゆえ、小生と名乗っているのでございます」と答
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)