だれの助言も耳に入らない夜だ/佐伯黒子
ひとりにさせてほしい悩みと
あなたにいてほしい悩みとでは
どちらが優先順位を持つのだろう
イヤホンを外す合図で世界が終わればいい
だれの助言も耳に入らない夜だ
雨音を掬っては亡いことにしたかった
わたしも わたしも わたしも
そんなわけはない
ひとりにさせてほしい悩みと
あなたがいないと済まない悩みとでは
どちらが助けを求める権利があるだろう
どちらがばかげた悩みなのだろう
絶ちたいのかも もうわからない
わたしも わたしも わたしも (きえたい)
そんなわけがない
雨で ハイヒールで 店の前で 水たまりで
傘を置きたかった
あ
と
、
もちろんのこと
だれの助言も耳に入らない夜だ
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