シェスタ/HAL
 
切の手垢のついていないグラスのように
開けたばかりのBarの清澄な空気のように
僕は 新しい世界に再生する

その更新の蘇生は 誰にも祝われなくても
僕は 洗い立てのま新しいシーツのような
目醒めを憶えながら
自らのためにLennonの創った
A Day In The Lifeを口笛で吹く
ラスト・コードを1オクターブずつ上げていった
E D C D Gはさすがだと想いながら

真昼の陽光のなかで
誰もいない親愛な孤独のなかで
そこは 紛れもないバルベックだと
強く感じながら
僕は スローモーションのように
シェスタの刻に別れの挨拶を告げる

それは 朝の目醒めとはまったく違う
磨き上げられた硝子のように
美しい虚無もなく淋しさもない
誰にも触れさせない僕の起源のようだ

そこには 朝の覚醒のような物憂い気怠さの
欠片の一片が何処にも見当たることはない
神の意思と乱離のない秩序によって成り立つ
微塵の傷痕のない僕だけの限りない宇宙だ

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