シェスタ/HAL
 
夜は浅く長く 昼は深く短く眠る
世界が いつしか僕から消失していく
死が シェスタのようであったらと
祈り願いながら 僕は今日も
光のなか 眠りの岸辺と誘われる

意識と無意識の境界線が朧になっていく
徐々になくなっていく

それは 黄昏のように
それは 眩暈のように
想い煩いなくやってくる

時間は静止し 世界は停止する

陽射しはまるで挽歌のように
僕が 此の世界から消え去っていくまで
旋律のない子守歌を
歌いつづけてくれる

そして とても深く短い安息のなかから
ゆっくりと覚醒していくときに
眠りの前に存在していた世界は もう何処にもなく
一切の
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