夜/多々田 駄陀
 
いがみ合った絡みから
意味なく君の髪に
触れる。

背をなでてゆく風の後で、 
黙ったまま 泣いて、 
すすり泣いて 空。

山神の血が白く荒み、 

冬になればいいのに、 
夜になればいいのに と、 
死んだ子供 を 手繰り寄せる 
妻、筆を舐める。 

 私 の手とじゃれあう。

襖の奥で 波が萌え、 
近所のおじさまが、
コートの裾に隠れて 住み着く。
 
サマンサとボギーが 
うごかぬまま、
痛い目に遭う。

浮かぬ顔して
どうしたんだい。

朝が怖いのに 
怒って、 
がが   なる 、
    ここで
  モメルなって。
        慣れなよ。
 いいから。    
全部まとめて、髪、巻き付いた、其れ!
と、     
おめ
 に かかれて よかったよ。     
しにまっか? は、 
君のよき口癖。
 は  
あきらめましょうおんな!
  
「・・・。」    

「夜」 


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