ゆめのなかだけです手が伸びるのは/佐伯黒子
 
てくれなかったんだ
そうとわかっていれば(おまえなんか
お、まえ、なんかす、てていたのに
折り紙みたいにぴしぴしに折ってたたんで
すてていたのによう
すてていたの、に、よ、)
もういちど聞いてもいいですか
もういちどその再生装置で
言ってくれませんか
なんだっていいから
さっきとちがうものでもいいから
もっともっとすばらしいことをのぞんだりしません
わたしは
(こころのなかではいつだって無意識に
ここよりもいいところはないかと探している
薄情なむすめなのですわたしはええそう
わかっていたのだからもちろんむかしから
)あなたがそこにいきているだけでいいの


それだけ
言ってみたいものだ
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