水温/三奈
心地よい揺れと
生ぬるい水温
波にさらわれたコンタクトレンズ
ぼやけた視界がとらえたものは
降り注ぐ優しいひかりの雨
身動きが、とれない
とりたくもない
堕落していく心
その温もりが その優しさが 当たり前になっていた
何をやっても許されるなんて汚い事を
心の隅で思っていたの
この水温は、やがて冷める
深く深く墜ちていくほど
ひかりの雨は遠くなる
やっと気づいた溺れる魚
必死にもがいて上を目指した
空は遠い
近くて遠い
泣き続ける溺れる魚
その涙の行き着く先は
まだきっと、誰も知らない
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