白の瞑想/いねむり猫
 


朝になっても 降りつづいて

白を重ねる 都市の眠り
 

音を埋められた通勤電車は カーブを滑る


列車の窓は 薄明るく曇って 

吹雪に閉じ込められたようだ


暖かく混み合った車内にまで 雪は降り積もり 

音を包みこむ

コトン コトトトン
   小さな線路のつぶやきだけが  
    人々の耳を小さく 打って
 

広い雪原に 置き去られたような
 せつなく 穏やかな
内省の時



次の駅に到着すると 
身震いしながら 
新たな客たちが 
入ってくる


そして 車内のざわめきは 
鼓動が鎮まるように
また 列車のつぶやき だけになる


みなの目は うつろに おのれへと 開かれ 

何も映さない 曇り窓に 

つぶやくように 行く先を尋ねている



それぞれが背負った重さを 確かめながら

まれな場所へと 

落ちていく

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