生活/田園
笑う女がおりました
女はぼろ布をまとっており
知識もあまりなかったもので
町のものからさけずまれておりました
女は林檎の木の下でくらしておりました
赤い実のなる小ぶりの木です
女は雨の日は雨に濡れ
晴れの日は焼かれ
笑っておりました
やがて若者が
不道徳な輩を排除しようといきりたちました
若者たちは女の元へやってきて「生活をしろ」と述べました
女は理解できず笑っております
若者たちは憤り
木の棒で女をぶちました
何度もぶちました
そして女は笑った口のまま動かなくなった頃
林檎の実が一つ落ちてきました
それは女の食事となるべくして降った実でした
女は「生活」をしていたのでございます
もう昔の話でございますが
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