うるう人/木屋 亞万
一日ごとの神様というと大袈裟だけれど
それぞれの日に担当者が決まっていて
八百人が毎年持ち回りで
一日ずつ見守っている
年に一度の総会で
月ごとにグループを作るのだが
その時ぽつんとひとりだけ
どこにも入れない人ができてしまうことがある
三百六十五人の人間が集まって
いつも綺麗に人数分けできるわけもない
うまくいくことが多いのは
グループの定員があらかじめ決まっているからだ
それでも数年に一人
溢れてしまう人がいるので
人数の一番少ないところに
ぽんと放り込まれることになる
それはいつも人数の少ない二月のグループで
二十八人しかいない二月の一番後ろ
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