ハングル/はだいろ
 

古い友達から
手紙が届いた
郵便事情の遅れで
32年ぶりに届いたのだ
郵便屋さんが
汚れた手で
すまなそうに制帽のつばを下げた
ひらいてみると
まるで読めなかった
ハングルは雪のちらつきのようだ
あの子となにかだいじな約束を
していたような気がする
寒い日はどこか
遠くで歌われている
歌が聞こえる
でもほんとうは
歌が歌われているのではなくて
静かさが静まっているだけなのだ













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