あしあと/山人
降り続く白い冬
いまはただ
うつむいた雪が
降り積もってゆく
脊髄が 錆びついてくるのを感じる
骨が膠着し 何も言わなくなると
ますます冬は
冷たくよそよそしくなる
寒さが喉で固まり
発する声をも強張らせてしまう
*
重く夜は垂れ下がっていた。
男はまた、穿孔虫をつまみながら自らの年輪を愛撫している。
止む無く 青刈りされた言葉を発し続ける。
生あたたかい薄い刃が 水のように私に入り込む。
ぶるぶると心血は吹き上がり、激しくののしりあう。
ボコリボコリと私と彼の口から生まれる血生臭い赤子は、古い家の隅々にみるみる堆積され、目を剥き、口にはや
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