僕の死の時/yamadahifumi
佐藤ひろ美26歳が
電車の中でたまたま隣に居合わせた後藤洋造56歳の服装を見て
心の中でせせら笑っている時に
僕は死んだ
山田達久43歳が
家賃の振り込みを忘れて焦って
管理会社に電話をかけている時に
僕は死んだ
加藤久雄三十六歳が
自分のミスを隠すために代わりに自分の部下の
中田正治二十一歳の小さなミスを拡大して怒鳴っている時に
僕は死んだ
吉田時子三十五歳が
メイクのノリが悪くなってきたと
自分の老いを実感し始めた時に
僕は死んだ
カルト団が都内でガスを散布して回って
二人ほどが先んじて呼吸困
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)