娘よ/月山一天
娘よ
すまない
おまえが初めて空気を吸った時も
おまえが冷えた
つま先抱えて
泣いていた時も
25年間
父さん
おまえにとって
死んでいたのだろう
混んだデパートで
7歳のおまえの手を握ってやる事も出来ず
父親参観にも行かず、
お前の
入学式
卒業式
誕生日すら
祝わず―
時には
お前の太陽の様な笑顔が
堪え難く思えたのだ
幸せそうなお前達
憎かったのだよ
私の前で
隠れてしまう
お前が、
母さんばかり
愛するお前が
自分が強いと思う為に
みなには
ひどい事をして来たと思う
おまえにとって
父さん
ずっと死んでいたのだろう
服従しろ、
尊敬しろ、
感謝しろと
無言の強要が
お前をすこしずつ
殺したのだ
お前は
重い年月を
持ち上げようと
何度もその寒さに耐えたことだろう
娘よ
すまなかった
父さん
お前を愛していた
あぁ 娘よ
これを、会話とゆうのだな。
今は亡き、
娘よ
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