春の兆しはまだ早い/灰泥軽茶
 
夜の光は優しくて

まっくろな闇も四角ばった建物も

あれホットチョコレートみたいに

トロミを帯びてゆっくり流れているなと

暖かい気持ちがする寒い冬の舗道

何故だろうか歩く地面はやんわりと

少しためらいながらゆっくり地面を蹴りながら歩くと

すぅいすぅいと

すぅいすぅいと

心と体が少し前にすすむ

だからぴょぅいと

ぴょいぴょぅいと

街路灯につかまれば

くるくるまわってその先向こうまで

ふんわりとんで宙返りして

着地できそうな

そんな春の予感が体をかけ巡る

手足はじんじんまだまだ寒くて

吐く息白い冬の舗道を軽やかに歩く





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