未完詩/桐原 真
りに
(ソーダ水ごしの光のように
たくさんの思い出が拡散しているよ)
わたしたちは
西日とともに、
ちいさな眠りに就く
昔から
いつでも温かかったあなたの手のひらは
たくさんの時間に満たされていて、
無垢で大きな
赤ちゃんの手のひらのようで
わたしはどこへ游いでいけばいいのか
このあかるい
ソーダ水の海は
ひろくて、
ひろくて
50年後の余白にも
窓辺のアネモネが美しくあるようにと
この歌をうたいつづけることしか
(このたなびく距離に
感謝は似合わないけれど、
ほんとうは
春はいつでも、ななめ後ろにあったんだよね)
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