音もなくそれは。/永乃ゆち
 
本当は分かってるんです。

わたし達には何もないって。

共有できる感情もなければ

共有できる夢もない。



あなたはあなたの道を

振り返りもせずゆくのです。



本当は分かってるんです。

終わりは刻一刻と近づいている。

きっともうすぐそこまで来ているのです。



それでも足掻いてしまうのは

あなたを愛しているということ。

それだけの為に生きようと決意したから。



終わりはすぐそこに。

音もなく。

やって来るのです。

戻る   Point(3)