れんげ/ピッピ
 


「おかあさん」

雌猫は、何か言葉になりそうな泣き声を叫び続けて

そして数匹の仔猫を産んだ

「さっちゃんも聞きたいことがあったらいってよ」

二回軽く頷いたけど、画面を食い入るように見ていた

「ここどこ?れんげはどこで生まれたの?」

「西麻布」

西麻布?その変な響きにわたしは笑いそうになった

「さっちゃんはどこでうまれたの?」

「ここ。東雲」

「そっか」

れんげはそっとわたしの手に前足を乗せた。そして

ひとりといっぴきはスクリーンを見上げていた

「れんげ、は…拾ったんだっけ。今日みたいな日だよね」

「ん…いま
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