れんげ/ピッピ
「あ、さっちゃん」
と、わたしの飼い猫が喋った
「あ、れんげ」
「な、なんで喋れるの」
「ぼくは死ぬんだ」
「なんで」
「なんでって言われても」
「なんで喋れるの」
「死ぬ直前にはね、そういう機会があるんだ。まあ、全猫ってわけじゃないけど」
「全猫…で、わたしは何をしたらいいの」
「こっちにきて」
走り出すれんげは、わたしを空き地へとつれていき
詰まれたダンボールの上に座らせた
「聞きたいことがいっぱいあるんだ」
少し薄曇った空に、突然スクリーンのようなものがあらわれ
そこには腹の出た雌猫が映し出された
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