美人の母をもちたかった/天野茂典
 
  父は苦労すると酒におぼれた
  かつての優等生だった
  頭がよかった ハンサムだった
  でも母の支えがなかったら店はとうに
  潰れていただろう
  いままでぼくは母を恨んできた
  ぼくの頭の悪いせいと 顔の悪いせいは
  母からの遺伝のせいだと
  がぼくはこのごろ見直している
  母がいなかったら ぼくたちの生活は
  どうなっていただろうかと 顔だけじゃない
  教養だけじゃない 生活してゆくための知恵が
  必要なのだと 母の評価がわってきてるのだ
  ぼくも鈍才だった自分をあまり責めないようになりつつある
  それでもぼくは
  美人の母をもちたかった
  美人の母をもちたかった
  とくりかえすのだ
  教養のある母をもちたかった
  とも・・・・・



         2004・12・01


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