2011+リライト/ブルーベリー
 
っている。
邪魔だ
「ええと」
じじいはひっこんでくれないか
私はじじいを見ながら思う
そもそもお見合いになんでこのじじいが絡んでくるんだろうな、
両親はどこいったんだ、
邪魔だ

愛している、

「恋愛物を」
じじいの顔色を結局窺いながらそう答えるしかなくて



愛しているなどこんなに容易く書けるのに
どうして否定はこんなにも容易くないのだろう

平凡な男と電話番号を交換したが
こちらからかけ直す事はなく
すぐに着信拒否設定にした


愛とはなんぞや。


大学生の頬を染めながら
上司を狡猾に笑わせながら
合コンのメールに丁重に断りを入れながら

何も手にしたくないのよ
形だけは大人の笑みで
手にする携帯電話
接続端子に爪を立てた

ちっとも優しくはないんだ

導火線に火をつけずに
覚悟がないだけ
スイッチを手にしたまま
項垂れてるだけ


また夏か



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