灯火/
 
逆立ちをして血が上り続けてしまったことを悔やんでいた男たちは鉄錆になく

暮れとも明けともつかない空は鈍色だ。鉄骨の喉元を明け透けにして、鉛筆の芯みたいにうらやましい胚内をうらんで、せせこましくもない空は呼吸する。空っぽの心臓に気泡が入り込んだとき、コンクリート色の女たちが顔をゆがめながら燃える町を構成する。

血痕はおびただしく伸び続けていく。
シーツの端から端まで、
封蝋の男たちは灰を塗ったくってあえいでいる、
いちばんてっぺん=下だったと気づいたひとりが墜落する、
と墜落者はひっくり返って女になる、
とビルの階段が少し延びた。

ドドメ色のほのおが灰皿みたいなこの世界で
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