立春/
まんぼう2
呆然として
60年が過ぎた
そのあとの
60年
赤ん坊は生まれず
人口が減少しても
私はいない
唯
冬の部屋は
寒い
小さな湯のみに
あふれるほど
膨れた
中国茶を
啜りながら
塩豆を齧る
立春は過ぎても
梅の蕾みは固く
薔薇の芽は紅い
木戸を出ると
赤と青の信号の順列が
冬の湖まで続き
さて
鳰の浮巣を見に行こう
と独り言ちると
どこかで
笑う声がする
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