美香/「Y」
ているっていうか、勘で言っただけだけど」
「勘かあ……」と呟き、昌はすこし笑った。
「うん。たしかにいるよ。恋人。だけど、とりあえず、気にしなくてもいいんじゃないかな」
「それって、どういうこと。私が、ロボットだから?」
「いや。別にそういうわけじゃないけど」
美香が、語気を強めて昌に言う。
「産むことはできないけど、それ以外は同じだよ」
その言葉に、昌は妙な迫力を感じ、息を呑んだ。そして言った。
「悪かった。言い方に気を付けるよ」
美香は、昌の隣で寝息をたてている。
……男にチョコレートを贈るロボット。
白い息を吐くロボット。
ロボットと呼ばれることを嫌う
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