美香/「Y」
の」
「ありがとう」と昌は言う。「だけど、どうして俺なんだろうね」
「どうしてって……」
美香は戸惑った表情を浮かべる。
昌は、その表情に、なぜか魅力を覚えた。そして、なんとも言いようのない気分になった。
(この複雑な表情は、本当にロボットのものなのか)という思いがある。
「なんでだろう」と、呟くように美香が言った。
「本当に、私にも、よくわからないんだ。どうしてなんだろう」
「いいよ。別に悩まなくても」
「最近、本当によくわからないの。私は、今はあのパビリオンで働いていて、こういう不適切な行動をとらないようにプログラムが組まれているはずなのに、そういう風にはなっていないみた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)