化学者/日野
 
オリヅルランの
白い筋を滑り落ちて
ぽたり
光が膨張する

鉛筆の先の消しゴムが
手のひらに当たるまで短く
執拗に書き続ける
うしろめたさ

黄色い空の雨
水たまりに流れ着く爪
かさりかさり重なり
なおも降り注ぐ雨
すべては子供のアンブレラ

私の組み上げた構造式が
ぽきりと折れ
瞬く間に崩れ
散らばる文字(レタァ)を
掻き集めてる

無情な飛行機と同じくらい
すべての言葉を
飲み込んでいた
両手で覆っていた
悔恨と粘液にまみれた白目

思い出すはユーラシア
ただの化学反応?
止めるすべもなく
ついに爆発
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