黒い海/真山義一郎
 

目を覚ました
悔しくて悔しくてたまらない
そんな夢を
見ていたようなのだ

それは涙だっただろうか
それとも血だったのか
指につけて
舐めると
やはり、食卓塩のように
残酷にからいのだ

深夜と戯れるように
コーヒーを飲みながら
あの黒い海を思い出すと
やわらかな
和解が訪れる日も
いつか
きっと
来る
そんな気も
するのだった

いや、
その日はもう
訪れているのかもしれない

小さく呟いてみた




戻る   Point(40)