黒い海/
真山義一郎
目を覚ました
悔しくて悔しくてたまらない
そんな夢を
見ていたようなのだ
それは涙だっただろうか
それとも血だったのか
指につけて
舐めると
やはり、食卓塩のように
残酷にからいのだ
深夜と戯れるように
コーヒーを飲みながら
あの黒い海を思い出すと
やわらかな
和解が訪れる日も
いつか
きっと
来る
そんな気も
するのだった
いや、
その日はもう
訪れているのかもしれない
と
小さく呟いてみた
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