プリズム系地獄/
 

だれかの瞼がずっと続いて階段になっていた。黄緑色の女だった。粘着していた。から嘘が張り付いていた。あたしは。降りていく度にぴくりと閉じられて蛇腹みたいになった瞼を後目に、裸のままで降りていった。階段の底は忌み子のようにささやかな鼓動を打ち続けている。洗浄された腹の中から漏れ出す紫の血で地面を汚すと、地面があたしだったことに気づいた。

サングラスを踏みつけて思い出になったつもりのその破片がくたびれていくのを、放課後のゴミ捨て場で味わった。血など出るものか、甲殻は常に衣類さえも切り裂いている。焼却場で焼かれるプラスチックのいやなにおいはひりひり痛む頬みたいだった。延びた尻尾からまた生えた腕を
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