愛と誠/たにい
 
切りにならないように気を使っていた。

この変わった性癖の訳は二十歳の誕生日の夜に明らかになった。誠は前世で女を殺していて、彼の深層意識はそれを覚えていたのだ。
こんな夢を見た。
誠は横須賀海軍基地の米軍士官だった。非番の夜横浜でしたたか酔って愛という名の女の子を拾って山下公園に行く。ベンチでいちゃついている時、愛が誠のある部分を馬鹿にする。誠の頭の赤い酒霧に火がつく。その後の事は覚えていない。
気がついた時には誠は愛の首を締めている。誠は死刑になった。

殺した女の生まれ変わりを探し出し、その人に尽すことが今世の誠の宿命なのだった。その人以外の他の女性とは親密な関係を結んではならな
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