もし毎日一枚のレコードが買えたなら/はだいろ
に合わせて、話をしているのに、
たまに、
その調整を微妙に間違えてしまい、
嫁が怒りだすことがあり、
そうなると、ぼくのほうも我慢できず、
いらつきを態度に出してしまう。
ほんとうは、
もっと話の合う、
もっといっしょにいて気分のよくなる、
もっと違う世界に歩いてゆける、
女の人が、世の中にはいたに違いない。
だけど、
そんな夢ももう、彼方へ消えた。
ぼくは、
嫁と喧嘩したり、
仲直りしながら、
これから毎日暮らしてゆくのである。
嫁が、
いったい毎月、
いくらくらい、おこずかいをくれるのか、
まだ定かではない。
もし、
毎日、
一枚だけ、
好きなレコードを買えたなら、
ぼくは世界一幸せだと、
そんな夢も、
あとはもう昼寝のときに、
安いけれど感じのよいソファで、
にやついて見るだけだろう。
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