ねじれ/乱太郎
何も知らなかった
(そう叫ぶべきだった)
冷えた夜の欠片をかじりながら
一度切り裂いた真昼の夢を拾い集める
オブジェにならない粘土
翼の破れた折り鶴
なにもかもが中途半端
何も聴かなかった
(そう答えるべきだった)
蒸し暑い夜が欠伸しながら
情け知らずの真昼の幻燈に頬杖する
純粋であることの不完全さ
透明であるゆえに暗黒
あらゆることが泡のように
捻じれた砂時計の結び目で
人と人とのやり取りが否応なく滑り落ちていく
一粒の誤解と一粒の猜疑心が紛れ込んだ濁流から
誤った過去を取り去る術を見失ったまま
昼と夜が何度も反転されて繰り返される反芻
気がつけば音を失くした響きだけが木霊して
晴れ渡った空に言葉すら忘れ去ろうとしていく
はじめから何もなかった
(そう自分に言い聞かせていると)
何時の間にか暴風雨がやってきて
竜巻に呑まれた末にこれから何処に着地していくのか
僕は知らない
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