同心円/HAL
石がひとつ
広くもない池の真ん中に投げられた
その落下点を中心に水の輪が
ひとつまたひとつと
同心円となって広がっていく
きみのこころの池に
石を投げ込んだのはぼくだった
そのぼくの投げ込んだ石は
きみのこころを揺らしながら
美しい同心円を描くのをぼくは見ていた
きみには想いもよらなかっただろう
まさかぼくが
きみのこころに石を投げ込むなんて
でもぼくの投げ込んだ石は
間違いなくきみのこころの池の水を
揺り動かした
きみのこころは
ぼくの予想したよりも
大きく美しい同心円を描いて
きみはぼくの投げ込んだ石によって
さざ波よりもきれいな波を
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