訪れる明日はまだ生きているか/宮岡絵美
私は組織に組み込まれている
書類の最後には自分の名前を書く
私は複製されて散らばってゆく
その様をありありと想像して目を閉じる
遠く離れた何処かの国の街並みを
おぼろげに仰ぎ見るような感覚
システマティックに生きてみたいが
そんな事はできそうにもない
何も思考することができないほど
ひたすら働いた一日の後は
他の幸せがあったのだろうかと考える
あるいは違った一日が
或る日の、この一日の背後に存在していたのかもしれないと
深い心を持って下さい
私のなかに住んで下さい
そんな呟きが聞こえ
それはまた風のように消える
君はまだ生きているか
この轟音が鳴り響く都
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)