双子/かいぶつ
 
えた。
鏡の中の双子の兄弟も消えた。
それで淋しくなって双子の姉と遊ぼうと思ったが
鏡越しに見つめるものがなくなった姉も
妹とペアになり消えてしまい
鏡の中の姉妹も消えた。

ひとり部屋に残され窓の方へと振り返る。
僕の双子の兄の顔がいっしゅん歪んだ気がしたが
歪んだのは外の空気で双子の兄を乗せた車は
ゆっくり発進し、どこかへ消えてしまった。

窓の外の歩行者、電波塔、雲。
その先に見えた景色のすべては
気持ち悪いくらいに僕と視線が重なるけれど、
どこをとっても左右非対称で
どこをとっても本当だった。

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