エスケープ/こういった
 

無限に逃げ続けられるだろうか

螺旋階段を下る夢
最下層で光を浴びる誰かを
必死で呼んでいた

君が泣いていた日
「心に空いた穴が塞がらない。」


僕は左手で
君にネジを押し込んだ


有限の消耗品である認識から
逃げ続けられるだろうか

擦り切れそうな不安を
電球に翳して
肋骨に仕舞ったら

それで不眠症も
治った気に なったよ


偶然の幸福に心臓の鍵を
手渡して日常を襲う悲劇から
逃げ続けられるだろうか


白昼夢を詰め込んだ音楽に
耳を傾けている僕は
現実から
逃げ続けられるだろうか


溢れる言葉と想像で
縫い繋いだ希望と共に
逃げ続けられるだろうか




戻る   Point(2)