測錘(おもり)が投げ入れられたならば/N.K.
真っすぐに投げ入れられた測錘――
それが判断であるなら
縦であろうと横であろうと
無方向でも
その力積が真っすぐでありさえすれば
縦となり緯は定まる
驚嘆すべきほどの前判断がその位置を得て
織りへと止揚されていくだろう
ましてや測錘が断定ならば
逡巡の必要はない
別の断定を投げ入れて見るがいい
そんな風に測錘に吊られてみるがいい
把握しているはずだ
ただ一筋の線が垂らされるだけで
浮かび上がる玉虫海気の空間を
没骨のモチーフを
一回性と全体性の形において
没骨のマッスの中には
求心力など働いていない
だから誰も 中へ
中へ入ろうとせずともよい
侵犯する
輪郭など見い出すことなどないから
測錘(おもり)が投げ入れられたならば
真っすぐに
位置は真っすぐに絶対化されながら
そこは中心ではない
内と外を分け隔てする境もない
ましてや押し出されたものを撃ち殺す
幼さの残る顔の兵士なども
断じていない
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