7月/
刑部憲暁
あじさいの花びらがもうどんな雨がやって来ても
救いようもないほど傷んでしまう7月にもなると
電線に無数の皺が浮き出して
これも手のつけようのないくらいに撚(よ)れて撚れて
ほんとうの姿が剥き出しになる
空を区切っているよれよれの線分が
わたしの肌を柔らかな絹のような音色で包み込み 風を起こす
チャイムのように 時を隔てる音楽を
わたしは擽(くすぐ)ってみたくなる
風が もう一度 空に線を引く
雲が 千切れる
わたしが 眼を閉じる
血が ほとばしる
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