余韻との対話/空丸ゆらぎ
ぼくが来た道に横断歩道はあっただろうか
君はちゃんとぼくを渡れただろうか
傘を畳みながら
石段を踏みしめる
雨の日に投函した手紙は晴れの日に届くだろうか
花束に深く沈んでいった君
曇り空が広がっていた
ただ 広がっていた
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今 瞼の裏で舞っているのは 何だろう
桜だろうか 雪だろうか
今 土の下に眠っているのは 何だろう
人の死体か 私の記憶か
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ある人は、ぼくのために、忘れなさい という
またある人は 故人のために 忘れないでほしい という
ぼくは・・・
生き残ったものは 何も耳に入らない
あれから4年 ・・・そうか、もう4年か。
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そうだよ
猫は里道に佇む御地蔵さんにそっくりだ
祈りというより
寄り添い
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