恒常の異物/salco
「売文」はペイするか。無論ペイして余りある。
漱石のパラノイアと洗面器になみなみの吐血。三島由紀夫は市ヶ谷駐屯地に走り、川端康成はガスコックを開け、カポーティが薬物に溺れた
ドツボも、ヘミングウェイが口腔に向けたライフルも、そこに帰納する。
世に問う形で自らを圧搾する事の、消耗速度
才気の放出に予め用意されているダウンスパイラルへの到達
もしくは堆積の達成ではなく、転落として待ち受ける枯渇
そんな事を恐れて書く職業作家はいない。書き続ける事に生の意味がある彼らにとって、要はそこで自分を許せるかだろう。だが強靭な知
能ではなく、場凌ぎをするのは「神経」だ。自らを駆り立てて来た者が、そもそも肥厚の繭で眠れるのか。文学はまさに徒労の煉獄だ。
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