もしも神に出合ったら/まーつん
もしも神に出会ったら
すがり付くだろうか
狂った歯車を止めてくれと
飛びかかるだろうか
生きる痛みの責めを負えと
それとも
お茶に招くだろうか
穏やかな春の午後に
鏡のように凪いだ庭園の泉には
長い脚の片方を小粋に曲げて
白い羽を纏った鳥が佇む
その岸辺に据えた
白いテーブルを囲んで
神は多分 古い麻のローヴをまとって
縮れた黒い長髪が 穏やかに風になびいて
僕は紅茶を啜りながら 彼の計画について尋ねる
彼は薄汚れた身体を 光輝で包みながら 静かに答える
彼は多分 こう答える
゛なるようになるさ゛ と
そんな感じになるといい
叫びも すすり泣きもなく
隣近所の住人と 語り合う時の様に
川の流れについて 風の行方について
人の栄光
砂上の楼閣
天空の砂時計
その静かな滴り
世界は音もなく
埋没していく
時の漏斗の
渦の底に
戻る 編 削 Point(5)