反転した世界ーーー夢/yamadahifumi
 
 ドアを開けて、男が入ってきた。僕はその男をすんなりと迎えた。ーーーどうして僕がその男をすんなりと認めたのかはよく分からない。・・・多分、それが夢だったからだろう、と僕は思う。そう、きっとそうに違いないのだ。それは夢だ。・・・だが僕はその時、それを知覚していなかった。ただぼんやりとそう予感していただけだった・・・。
 男はゆっくりと僕の部屋に入ってきて(それは僕の部屋だった)、立っていたパジャマ姿の僕の肩に手を置いて(その時、僕は自分自身を、つまり「僕」を見ているような感覚だった・・・)こう言った。
 「お前はもう十分働いた。とりあえずそこのベッドに座って、ゆっくり休みなさい」
 僕はベッド
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