月と僕のあいだ/
 
魔か


ひらり

ほろり

思考は雪みたいに溶けて
涙をつくる

まるで花のなくならない桜のよう

この寂しさも
硝子も

消えたら楽になる

だけどそれで自分は崩れるの

自分でいる甲斐をなくすの

この目が捕らえる桜色


ひらり

はらり

月明かりの下

儚く

舞って

月の前で踊る君は
僕の硝子を、ほんの少しだけ。熔かすのです


ほんの少しだけ。
会いたくないあなたに
会いたくなったのは

今落ちた桜との内緒。です
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